【職員コラム】石川県珠洲市での災害支援業務に従事して
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本年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」は、多くの人命を奪うとともに、地域一帯に甚大な被害をもたらしました。
お亡くなりになられた皆様に謹んでお悔み申し上げるとともに、被害に遭われた皆様にお見舞い申し上げ、1日も早い復旧・復興を祈るところです。
さて、全国の自治体や各種団体からその支援の輪が広がっているところ、当院職員が兵庫県から神河町を通じて1月1日の能登半島地震の震源地である石川県珠洲市において、被害家屋認定調査業務の派遣依頼があり、1月31日から2月5日までの間、災害支援業務に従事してきましたので、その様子をお伝えします。
「遠い所からありがとうございます。」避難所には行かずに壊れた自宅にいらっしゃった、優しそうな高齢女性からの声に、思わず涙がこみ上げてきます。
「今は病院職員なのに、役場の業務を担うなんて後ろめたいな」と思っていた気持ちが、馬鹿らしくなります。
本来こちらが元気づける声掛けをしなければならないのに、逆に勇気をもらうなんて、私のちっぽけな使命感では、全く言葉になりません。
多くの家が押し潰され、大きく傾き、屋根や外壁が壊れ、「命の尊厳」をも吹き飛ばす自然の脅威を目の当たりにし、これほど人間の無力さを感じることは、正直、過去の災害支援業務ではありませんでした。
神河町職員2人の調査士が被害家屋を約90棟回っていくごとに、お互い「この家の方は助かったんだろうか」「ひどいな」と会話しながらも、その痕跡から暮らしや情景が容易に思い起こされます。
2月に入っても正月飾りはそのままで、家財がむき出しとなった現場であっても、私情は挟まず粛々と「全壊」「半壊」等の判定を下さなければなりません。
市内全域で、上下水道は破綻し、水は出ないし、捨てられない。道路は至る所でひび割れ、隆起し寸断、信号機は壊れ、まともな道はありません。水洗トイレも使えない状況です。
そんな中で、宿泊所の図書館に隣接した珠洲市総合病院では、貴重なトイレが利用でき、当たり前のありがたさを実感しました。当院と同規模で、全職員が被災しながらも、施設運営、人員・医療資源の確保に苦慮しながら、苦難の中で地域医療を死守されています。
ところで、この未だ手付かずの状況で、珠洲市が復興を遂げるには、何年もいやそれ以上掛かることは容易に想像できます。SNS、AI等の発達による情報化社会において、人の心に寄り添い「心の復興」を遂げるためには、無限のヒューマンパワーしかできない役割だと思います。
被災された高齢の女性の何気ない言葉の力「ありがとう」が勇気に代わったように、今後も私は、できる限りの声で、珠洲市民や珠洲市総合病院職員の方に、エールを送り続けたいと思います。
「がんばれ珠洲、がんばれ珠洲市総合病院!! 同じ空の下、兵庫の地から・・・」
総務課 黒田一史
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