○神河町手話言語条例

令和7年3月4日

条例第2号

言語は、お互いの考えや気持ちを伝え合い、理解し合う上で欠かすことのできないものであり、知識を蓄え、文化の創造を促し、人類の発展に大きく寄与してきました。手話言語は、音声言語とは異なり、手指や体の動き、表情を使って、視覚的に表現する言語です。ろう者は、コミュニケーションを図る上で必要な手話を言語として大切に育み、受け継いできました。

しかしながら、手話が言語として認められず、手話言語を使用することができる環境が整えられてこなかったことなどから、ろう者は、必要な情報を得ることも、周囲と十分なコミュニケーションを図ることもできず、多くの不便や不安を感じながら生活をしてきました。

こうした中、障害者の権利に関する条約や障害者基本法(昭和45年法律第84号)において、手話が言語として位置づけられたものの、手話言語に対する理解とその普及は、十分に進んでいるものではありません。

私たち町民は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話言語の理解とその普及に努め、ろう者を含む誰もが尊重し合い、心豊かに安心して生活できる地域共生社会の実現を目指します。

神河町は、町民生活におけるコミュニケーションツールとして手話という言語を発展させることで、全ての町民が安全・安心に暮らすことができる社会を目指しこの条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話言語への理解の促進及び普及について、基本理念を定め、神河町(以下「町」という。)の責務並びに町民、ろう者及び事業者の役割を明らかにするとともに、町が推進する施策について定めることにより、全ての町民が安全・安心に暮らすことができる社会の実現を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) ろう者 聴覚に障害があるもののうち、手話を言語として日常生活及び社会生活を営む者をいう。

(2) 町民 町内に在住又は通勤し、通学等により滞在する者をいう。

(3) 事業者 町内において事業を行う個人又は法人、その他団体をいう。

(基本理念)

第3条 手話言語への理解の促進及び普及は、手話が言語であることを認識し、かつ、ろう者が手話言語によりコミュニケーションを図る権利を有することを前提とし、ろう者及びろう者以外の者が相互に理解し、個性や人格を尊重することを基本として行わなければならない。

(町の責務)

第4条 町は、前条に定める基本理念にのっとり、手話言語への理解の促進及び普及を図るために必要な施策を、総合的かつ計画的に推進する責務を有する。

(町民等の役割)

第5条 町民は、社会生活において手話言語への理解促進及び普及のための町の施策に協力するよう努めるものとする。

2 ろう者は、手話通訳者の育成その他の町の施策に協力するとともに、手話言語への理解の促進及び普及に努めるものとする。

3 事業者は、ろう者が利用しやすいサービスを提供し、働きやすい環境を整備するよう努めるものとする。

(施策の推進)

第6条 町は、次に掲げる施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。

(1) 手話言語による情報を取得する機会の拡大のための施策

(2) 手話通訳者の確保及び養成等の意思疎通を支援するための施策

(3) 手話言語の理解及び普及を図るための施策

(4) 前各号に掲げるもののほか、この条例の目的を達成するために必要な施策

(意見の聴取)

第7条 町長は、前条に掲げる施策の実施状況、見直しその他手話への理解の促進及び手話の普及に関し必要な事項について、広く町民、事業者、知識経験者その他町長が必要があると認める者に意見を聴くものとする。

(学校教育における理解の促進)

第8条 町は、学校教育において、第3条に規定する基本理念に基づき、手話言語への理解促進及び普及啓発並びに手話言語が必要な児童生徒に対し、手話言語による学習支援に努めるものとする。

(委任)

第9条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。

この条例は、令和7年4月1日から施行する。

神河町手話言語条例

令和7年3月4日 条例第2号

(令和7年4月1日施行)

体系情報
第7編 民生・衛生/第1章 社会福祉/第7節 障害者福祉
沿革情報
令和7年3月4日 条例第2号